Kayatsuri Blog

31/05/2009

最近買った本

Filed under: 日々のこと, がん・創薬 — 蚊帳吊りウサギ @ 10:20 pm

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旭屋書店がロンドンから撤退して以来、イギリスには本格的に日本の本を在庫する本屋はなくなってしまいました。今ではコンビニの本・雑誌コーナー程度のものが、ロンドン三越、その他の雑貨店の中に残っているのみです。必然的に、和書は日本のアマゾンから買うことになり、一回の送料を節約するために、たいてい、数冊をまとめ買いします。

最近、量子力学関係、その他の本をいくつか買い込みました。

1 量子化学入門(下)、米澤貞次郎ほか、化学同人
2 量子力学の解釈問題、コリン・ブルース、和田純夫訳、講談社
3 シュレディンガーの猫がいっぱい、和田純夫
4 量子力学 観測と解釈問題、高林武彦、海鳴社
5 入門UNIXシェルプログラミング、ブルース・ブリン、山下哲典訳、ソフトバンク・クリエイティブ

その少し前に買った本・・・

6 高校数学でわかるシュレディンガー方程式、竹内淳、講談社
7 高校数学でわかるマクスウェル方程式、竹内淳、講談社
8 高校数学でわかるボルツマンの原理、竹内淳、講談社
9 忘れてしまった、高校の数学を復習する本、柳谷晃、中経出版
10 生命とは何か 物理的に見た生細胞、シュレーディンガー、岡小天ほか訳、岩波文庫

高校程度の数学をさらうだけで、何とか量子力学とその周辺分野(電磁気学、統計熱力学)を手っ取り早く復習したいという安易な考えがストレートに現れているのが、6-9。ところが、ついついいらぬところに気が散るのが私の悪い癖で、それは10を見ればわかります。最近買った1は福井謙一学派の手になる名著で、安易な「高校程度の・・」作戦が失敗に終わり、本格的に量子力学を復習せざるを得なくなったことを物語っています。それが面倒くさくて仕方ないものだから、思いっきり気が散っているのが良くわかるのが、2-4ですね。5は、まあ、必要に迫られてということです。

この週末は、3の「シュレディンガーの猫がいっぱい」をゆっくり読みました。量子力学の多世界解釈については、恥ずかしながら、ほとんど何も知りませんでしたので、「ああ、こういうことを、一生懸命考えている人がいるんだなあ」と、妙に感心したものの、肝心の本論については、腑に落ちないことばかりです。そもそも、こういう本来数学の言葉で記述されるべき問題を、啓蒙書の中で平易な言葉で取り扱うのには、本質的な困難があるわけで、おそらく、私の疑問のほとんどは、私の無知と数学力の不足から来るものだとは思います。2もじっくり読んでから、また、気が向けば何か書くかも知れません。

ひとつだけ、無知をさらすのを覚悟で考えたことを書いておけば、波動関数で記述される確率的な(あるいは、多世界の重なりあいとしての)電子のふるまいというのは、有機化学者にとっては、ある意味で日常的なもので、むしろいまさら観測によって位置の定まった粒子などに収束されては困るようなところがあります。われわれが、分子間の相互作用などを考えるときは、電子をあくまで電子雲というか、軌道として取り扱っているのであって、粒子としての電子を意識することはほとんどありません。薬物と生体分子の相互作用なども同じことです。このような相互作用はサイズ的には、マクロとミクロの中間に位置するものでしょうけれど、その相互作用の結果が人間の生理状態に大きな影響を与えることを考えれば、マクロな現象といわざるを得ません。マクロな現象である以上は、数ある多世界の中から、その観測者というか、当の生体分子の持ち主である人間と住む世界を同じくする電子のみがかかわってるはずですが、問題なのは、そういう粒子として収束してしまった電子では、現象としての有機反応を説明できないのです。うーん、なんだか、私の言いたいことを、意味がわかるように書くのは、ほとんど不可能なように思えてきましたので、続きはまたの機会に。

写真は、近所の街の公園です。もともとは、市民革命のころに取り壊された古城跡なんです。

19/05/2009

豚インフルエンザ

Filed under: がん・創薬 — 蚊帳吊りウサギ @ 09:52 pm


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豚インフルエンザの感染が広がっています。当局の対応が行き過ぎなのか、適切なのかは、判断の難しいところですが、いずれにせよ、私のように胸部および上腹部のリンパ節を根こそぎにされている人間にとっては、弱毒性とはいっても、このウイルスに十分な免疫反応が起こるかどうか、かなり心もとないものです。出来ることなら、かかりたくないですねえ。

ところで、このインフルエンザウイルスに関して、とてもよくまとまった記事をみつけましたのでご紹介します。どうやったら、インフルエンザにかからないか、というような実用的なことではなくて、最近の新薬の開発が、どのようなコンセプトで行われているのかということが、このウイルスを例に書かれています。ここに紹介されている、ターゲットの構造に基づいた薬物設計というのは、現在の創薬プロセスの根幹を成すものです。これを読んだだけでも、この分野が、分子生物学、医学、構造生物学、有機化学、計算化学などの最先端のサイエンスを集約した、きわめて学際的な分野だということがお分かりいただけると思います。要するに、一人の専門家では歯が立たないんです。逆に言うと、一人一人の研究者が、ほんとにいろいろなことを勉強しないといけない。

写真(図)は、タミフルが鳥インフルエンザウイルスのノイラミニダーゼに結合しているところです。酵素のポケットの深いところにはまっているのがわかると思います。ここは、酵素の活性部位、その働きのおおもとをつかさどる部分ですから、なかなか突然変異が起こりません。これがタミフルが、比較的広い範囲のインフルエンザに効果を示す理由になっています。ポケットの入り口付近の酵素活性に直接関係のない部分は、どんどん突然変異で変化してゆきますから、このあたりを狙って薬を作ったのでは、新しいウイルスに対しては、すぐに効果がなくなってしまいます。あくまで大雑把なはなしですけれど。

17/05/2009

8弦ギターでヴァイス(2)

Filed under: 音楽・ギター — 蚊帳吊りウサギ @ 04:04 pm

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さて、このFマイナのソナタには市販の6弦ギター用の編曲譜があります。Weiss, Two Suites for Solo Guitar, Transcribed and Edited by Gilbert Biberian, Edition Peters, No.7336です。これをそのまま弾いたのでは8弦ギターを使う意味がありませんから、キエザ編のロンドン写本の現代記譜版を横目で眺めながら、このピータース版を8弦用に直してゆきます。

普通、私たちがヴァイスの曲をギターに編む場合、基本的にやることは二つ。ギターで弾きやすい調に移調することと、低すぎてギターの音域からはずれたバスをオクターブ上げてやることです。もちろん、弾けないところだけ動かしたのでは、バスラインが凸凹してしまいますから、音楽的に無理のないように選んだ一塊を、丸ごとあげてやる必要があります。このときに、オクターブ上がったバスと上声、内声部が十分離れていれば良いのですけれど、あいにく音域的に接近あるいは、重なっている場合は、そのまま弾いたのでは、各パートが何を弾いているのかわからないし、ハーモニーのバランスも悪くなってしまいますから、仕方なくメロディーも含めた全体をオクターブ上げる羽目になります。この場合も、出来るだけ不自然にならないように、つなぎ目を慎重に選択するわけですが、ともすれば、テナーが突然ソプラノに声変わりしたような奇妙な事態を引き起こすことも、ままあります。それでも、まあ、物理的に弾ければ良いのであって、どうにもこうにもならない場合は、最後の手段。あきらめて別の曲を弾く、という作戦を適用せざるを得なくなります。

専門家の立場から見れば、その他にも、タブラチュアを現代記譜に解釈する問題やら、自由度を持って指定されているオーナメンテーションをどこまで、明示的に書くのかといったような、いろいろなことがあるのでしょうけれど、私などのレベルの場合は、バルトやホピーやカルダンや今村のCDを耳コピーして、なんとなくこんな感じかしら、というのが現実です。

で、このピータース版ですが、この手の編曲譜の中では、脚注や変更箇所の記載などは、比較的しっかりしているほうですが、それでも、何の断りも無くごまかしてある部分も散見されて、完全に安心できる譜面ではありません。写真は、第二曲のクーラントの「なんの断りも無く」変更された部分です。こういうところは、オリジナルどおりに書き直しておきます。結構、手間のかかる作業です。

12/05/2009

8弦ギターでヴァイス

Filed under: 音楽・ギター — 蚊帳吊りウサギ @ 09:45 pm

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練習してますが、苦戦しています。なんと言っても、弦が多いです。このギターを手に入れた当初の計画では、調弦は上からAEBGDAEA。つまり、通常の6弦を上と下から二本のA線ではさむ予定だったのですが、このアイデアは一曲録音しただけで却下されました。どうしても、通常のギターの音に慣れた耳には、細い高音側A線の音がやせて貧弱に聞こえますし、それよりも何よりも、6弦ギターとの持ち替えが難しくて、8弦しか弾けなくなってしまうのに閉口したというのが、頓挫の主な理由です。それなりのメリットは十分にあったので、ちょっと残念ではあるのですけれど。

今は、上からEBGDAEDAとしてあります。なんだか、中途半端なチューニングですが、これでバロックリュートの最低音のAまで届きますし、EDAが開放弦なのは、ホ短調の曲の演奏にはとっても便利です。というわけで、今回のお題は、ヴァイスの組曲から、スミス・クローフォードの番号で21番。ロンドン写本の番号で言えば、121から131のFマイナの組曲をEマイナに移したものです。この曲を選んだのは、好きな曲だからというのはもちろんのことですが、もうひとつには、デイビッド・タネンバウムの6弦ギターによるとても良い録音があるからなんです。8弦で一工夫すれば、どんな風になるかなあ、と思うのですが、何とか形にするのには、いましばらくかかりそうです。

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