
パラレル・コンピューティングというのは、日本語では並列計算というんでしょうか。要するに、ひとつの計算をいくつかの作業部分に分割し、それを複数のCPU上で同時に走らせて計算速度を上げることです。パラレル・コンピューティングというと、普通は、たくさんのパソコンをネットワークでつなげたPCクラスタが思い浮かびますが、最近では一台のPCでも並列作業が可能です。CPUの高速化にも既存の技術では限界が見えてきたところで、インテルやAMDのCPUは軒並み複数のCPUコアを持ったマルチコアタイプになってきたからですね。おかげで、タンパク質・薬物複合体などの、原子数が1000を越えるような大きなシステムのab initio法による量子力学計算が、なんとか、普通の家庭用PCの射程距離内に入ってきました。
Ab initio(アビニシオと読みます)のことは、まあ、また改めて書くとして、宅録日記に書いたように、最近、新しいPCを手に入れまして、ネットからフリーでダウンロードできるGAMESSという量子力学計算ソフトを、夜な夜な、ゴソゴソと動かしています。新しいPCのスペックは、Core2-quad 、2GB RAM、500GB Hard Driveですから、特に高性能のPCというわけでもありません。OSは、ビスタが入っていたのをXPに入れ替えました。
それにしても、こういう特殊なソフトを走るようにするのは、結構大変な作業です。いろいろなところから、いろいろなものをダウンロードしてきては、作業環境を整備して、ようやくテストインプットが走るようになったと思っても、いざ自分のジョブとなると、データの書式や、キーワードの使い方が今ひとつ良くわからなかったりで、エラーと異常終了の山を築いていました。
特に、この一週間ほどずっと悩んでいたのが、どうやったらCore2-quadの4つのCPUを同時に使った、並列計算ができるのかということだったのです。どうやっても、ひとつのCPUしか動かすことができず、せっかくのマルチコアも宝の持ち腐れ状態。それが、昨日の夜、執念のグーグルサーチが奏効して、バッチファイルの設定を少しいじるだけでOKだということを発見しました。計算化学のベテランから見れば、まあ、なんともレベルの低い話なんでしょうけれども、こちらは初心者ですから、実に、単純にうれしいわけです。
というわけで、4つのCPUがほぼフラットアウトに動いている状態での、タスクマネジャのスクリーンショットを大公開したいと思います。ああ、うれしいなあ。ちなみに、このジョブは、かれこれ6時間ほど動いていますが、一向に終了する気配がありません。ベンチマークから類推するに、予想計算時間は、24-48時間の予定なのですが、さて、どうなりますか。

確率の話はほどほどにして、今日は、新録音アップのご連絡です。
「芸の幅を広げる」シリーズの本命は、次回の予定ですので、今回はちょっと、お茶を濁した感がありますが、といって、それほどやさしい曲でもありませんでした。ハーモニクスがねえ・・・・鳴らしきれないんですよねえ。
詳細は、宅録日記に。
写真は、小樽の水族館でお目にかかったカメ君です。

で、この3ヶ月ほど、相変わらず、いつものようドタバタしていたわけですが、そういえば、帰国した際の飛行機の中で、「21(トゥエンティーワン)」という映画を見ました。ものすごく大雑把に要約すると、MIT(マサチューセッツ工科大学)の学生がブラックジャックの必勝方を開発、教授をリーダーとするギャンブル・グループを結成し、ラスベガスで大稼ぎをするという、実話に基づいたお話です。その映画の中にこんなシーンが出てきます。
数学の講義中に、教授が学生を相手にこう尋ねます。「今、仮に君がテレビのゲーム・ショーに出演していたとする。君の前には三つの扉。ひとつの扉の後ろには、スポーツカー。残りの二つの扉の後ろにはヤギ。正しい扉を選べば、ピカピカの新車が手に入るというわけだ。さて、ここで、君は1番の扉を選んだとする。すると、司会者は、おもむろに3番の扉を開く。そして、その中にはヤギ。スポーツカーは残った二つの扉のどちらかにあるというわけだ。ここで、君には最初に選んだ1番の扉を2番に変更することができる。君は、扉を変更するべきだろうか?」件の学生は、一瞬の躊躇もなくこう答えます。「扉を変更するべきです・・・事後確立の問題だから。司会者が3番の扉を開けた時点ですべてが変わってしまう・・・・・」
うーん、しかし、ちょっと考えただけでは、スポーツカーが1番の扉の後ろにある確立も、2番の後ろにある確立も、それぞれ50%で扉を変更する意味はないように思えます。この映画の冒頭のこのシーンが妙に気になってしまって、結局、映画そのものは、あまり楽しむことができませんでした。それどころか、そのあと、飛行機の中でずっとこの問題を考えていたもので、12時間のフライトが、あっという間だったくらいです。実際のところ、自分なりに理屈を飲み込んで納得するのには、そのあと一週間くらいかかったのです。
というわけで、この手の問題のお好きな方は、どうぞ悩んでみてください。
ところで、写真は、下に書いた小樽の水族館に行ったときに撮ったものです。水槽をデジカメで撮るというのは、結構難しいもので、めちゃくちゃにシャッターを押していたら、期せずして幻想的な一枚が出来上がりました。

あーあ、うだうだしているあいだに、3ヶ月近くもブログの更新をサボってしまいました。面目ない。
忙しいというよりは、妙に気ぜわしい日々が続いています。
7月には、法事、仕事、その他で一時帰国しました。女房の実家の札幌にも久しぶりに顔を出して、ちょっと天気は悪かったのですが、みなで小樽は祝津の水族館に行ってきました。写真は、水族館前の駐車場から、石狩湾をはさんで札幌方面を望んだところ。ウサギの走る海の向こうに、東京とは比べ物にもなりませんが、近年ニョキニョキと梅雨時のキノコのように立ち並び始めた札幌の高層ビル群が、手稲と藻岩の山すそを脅かしているのが見えます。
大学時代をすごした札幌は、私にとって、故郷の大阪以上に郷愁を感じる街です。黙々とアパートと大学を往復する日々がそのまま永遠に続くように感じられた、あのころも今では遠く、石狩湾の向こう側にかすむ札幌の街並み、そのもののように思えます。