
どこでとは、あえて言いませんが、つい最近「誤謬(ごびゅう)」という論理学用語を覚えました。誤謬というのは、要するに、ある論証において、論理展開過程に根本的誤りがあり、その論証が全体として妥当でないことを言うのだそうです。たとえば、こういう論証です。
セゴビアは、唯一無二、至高のギタリストである。ところで、蚊帳吊りウサギは脊椎動物である。一方、セゴビアも脊椎動物である。したがって、蚊帳吊りウサギも、唯一無二、至高のギタリストである。
聞くところによると、蚊帳吊りウサギは、徳島県美馬郡に伝わる民話に現れる妖怪、蚊帳吊りタヌキの遠い親戚だそうですので、ウサギという名前がついていても、所詮は妖怪。脊椎動物であるかどうかは不明です。うーん、まあ、それ以前に、上の論証は、論証をすっ飛ばして結論だけ見ても明らかに誤っていますが。
最近、千歳空港で、日航のパイロットが管制官の指示を聞き違え、滑走路に別の飛行機がいるうちに離陸しようとして、あわや追突というニアミスを起こすという事件がありました。ちょっと長いですが、朝日新聞のウェブサイトから引用します。
「事故調査関係者やJALによると、管制官が502便に出した指示は、「expect immediately takeoff」(直ちに離陸するよう備えよ)という英語だった。国交省監修のマニュアルにはない表現だが、混雑時などに国際的に使われているという。この表現では、冒頭の「expect」(予期する)を聞き落とした場合、「immediately takeoff」(直ちに離陸せよ)と受け取れる。調査関係者は、操縦士がこの後段部分に影響され、離陸を許可されたと誤認した可能性があるとみている」
で、「expect immediately takeoff」ですが、これでは英語になっていません。「expect immediate takeoff」なら、まだわかるけど。また、無理して読めば、「滑走路に進入したら、直ちに離陸せよ」と、とれなくもない、すごく誤解を招きやすい表現で、こんな指示の仕方が許されているなんて驚きです。「prepare for immediate takeoff」とでもいうべきところでしょう。ほんとうに、ヒューマンエラーを防ぎたかったら、「proceed to runway and wait for further instruction」とでも言って、実際に離陸を許可するまでは「takeoff」なんて言葉を使わないことだと思います。
そもそも、日本の飛行機なのに、日本の空港の管制官となれない英語でやり取りするのがおかしいんじゃないでしょうか。外国の飛行機も離着陸するわけだから、仕方がないといえば、仕方ないんでしょうけれど、ヘンだといえば、かなりヘンな話です。英語でしゃべらナイトなんていって、何でも英語でしゃべればいいってもんじゃないんじゃないかなあ。世界共通語としての英語なんて、産業革命以来、まずイギリスが帝国主義の権化として世界の大半を植民地化し、大戦以後はアメリカが資本主義の名のもとに、さらに徹底的に地球規模の経済侵略をした副産物でしょう。日本人は、よく英語が下手だとか、なかなか国際化できないなんていわれますが、これは、なんといっても、日本がアフリカ、中東、インド、東南アジア諸国のように、早い時期に西欧列強の植民地となり、自国の言語文化を奪われ属国化されるという経験を経ていないことが大きいのだと思います。これは、むしろ、誇るべき、幸せなことです。もちろん、その逆に、あろうことか自らが帝国主義を振り回して、近隣諸国を侵略する道を歩んでしまったことは、痛恨の極みではありますが。
たとえば、Youtubeなんかで、上手な人のギターを聴いていると、「あなた、いったいなに食べて、そんなにギター上手くなったんですか?」って、聞いてみたくなりますよね。なりませんか? わたしなら、食べ物でギターが上達するなら、馬糞(マグソって読んでください。バフンじゃなくって・・・)だって食べますけれど。そういえば、高校時代に、辞書のページをちぎって食べて英単語が覚えられるなら、これから毎日、弁当のおかずは研究社の英和中辞典にする、なんて言ってた友人がいました。まあ、ギター上達のための献立を考えている暇があったら、練習したほうが良いですよね。でも、練習だってただ闇雲にすればよいというものではありません。何の考えもない練習をいたずらに繰り返して、「いつかきっと、すばらしいことが起こるはずだ」と夢を見ていても、はかない結果に終わることは、たいていのアマチュアのよく知るところです。ゼロの成果を無限に積み上げても、その総和は所詮ゼロなのであって、どんなに小さくとも、一回の練習で何がしかの成果をあげることが、とても重要だと思います。練習を終わってギターをケースにしまうときには、練習前に比べて、ほんの少しでも進歩したかどうかを、自分に対して真摯に問いかけなければなりません。どひゃー、これじゃあ、馬糞を食らう求道士の趣です。いや、ほんとは、こんなうざったいことを書きたかったのではなくて、上達にもタテとヨコがある、という話をしたかったのですけれど、話が始まる前に、すでに脱線しています。凹。
YoutubeをPiazzollaで検索したら、最初のページに出てくるくらいですから、知っている人も多いのでしょうけれど、才気あふれる、そしてまた、なんとも不思議なデュオです。このリベルタンゴには、かなりハマりました。ホームページは、こちら。どのビデオクリップも面白いですけれど、ベートーベンの月光をバックに、Youtubeに寄せられた実際のコメントをネタにしたコントも最高です。最近のNYの若いミュージシャンって、こんなことをして遊んでいるんだなあ、と思うと、ちょっと新鮮な気分になります。
このふたり、ジュリアードの同級生デュオなんですね。のだめの留学したパリのコンバトのピアノ科の学生たちも、こんな感じなんでしょうか。のだめヨーロッパ編では、役者さんたちはずいぶん達者に弾き真似をしているように思いましたけれど、やっぱり、こういうビデオを見ると、本物のリアリティーにあらためて驚かされます。