ポンセのサラバンド
引き続きポンセのイ短調組曲から、サラバンドを練習しています。ちょっと長い出張が入ってしまい、3週間もギターに触れなかったことなどもあり、いつもに輪をかけたスローペースとなっています。それにしても、このサラバンドは美しい。心が洗われるなんていうのは、まったくもって、月並みな表現ですが、この曲を弾いていると、それこそ世知辛い世間の垢で真っ黒になった私の心も、強力洗濯機でジャブジャブ洗われているような気持ちになります。
ところで、重箱の隅をつつくような話ですが、この曲にはいくつか難所があります。なかでも、その筆頭はここでしょう(譜例)。3小節前のC♯から、D、E、F♯、G♯、A、B、C♯とクレッシェンドしながらスケールを上ってきたバスがちょうど1オクターブ上りきって到達したクライマックスです。ゴンザレス編のトランスアトランティック版では、このC♯(赤丸)を1で押さえるようになっていますが、これではどうがんばっても途中で音が切れてしまいます。これが、私には、どうにも気持ちが悪くて我慢できません。ゴンザレスが、なぜこんな大事な音を保持できないような指をつけたのかというと、おそらく、直後にスラーで弾かれる内声のB、A、Bを弾きやすくして、たっぷり鳴らすためでしょう。なんと言っても、この曲一番のサビの部分ですから、バスが切れようが何があろうが、鳴らないことには、話にならない。
うーん、でもやっぱり、C♯が切れるのは我慢できそうにありません。というわけで、赤で書いたように運指を変更してみました。このようにC♯を2で押さえてやれば、問題は解決です。直前の4の指がガイドフィンガーになっています。ところがどっこい、これだと、1、2、4を押さえたまま、3のプルオフ、ハマーオンで三連譜を弾かねばなりません。ちょっと大げさですが、3指の独立性の限界に挑戦する運指です。そのうえ、三連譜のあとは、間髪をいれずに次のポジションに移動してフレーズを滑らかにつなげなければなりません。これを、難所と言わずしてなんと言おう?
そんなわけで、ここ一週間ほど、毎日、壊れたレコードプレーヤーのようにここばかり練習しています。こういう個所が出てくると、変にムキになるのが私の性分なんですね。