イーグルは舞い降りた
私のサイトで最もアクセス数の多いページは、実はトップページではなくて「タキソールの話」という抗がん剤のことを書いたページなのです。タキソールというのはイチイの木からとれる細胞毒で、その高い抗がん活性と特異な構造が有機合成化学者の興味を呼んで、全合成一番乗りを目指した熾烈な競争が行われました。もう、20年近くも前のことです。私たちのグループが直接参加したわけではありませんけれど。
昨夜遅く、フラフラとネットを散歩 していたら、そのタキソールがチューブリン二量体と複合体を形成している様子が電子線解析を使って解明されているのを見つけました。模式的に描かれたタン パクの上に蚊のようにくっついている白いものがタキソールです。毎日、実験ノートに構造を描くのに骨の折れた、あの大きなタキソールが、チューブリンの上 ではなんと小さく見えることか。なんだか、すごく感動してしまって、じっと30分近くもその姿を眺めていました。まるで、イトカワに軟着陸したはやぶさの ようです。本当に、細胞の中には宇宙があるんだなあって思います。
ところで、タキソールの話以外の私のサイトの抗がん剤の話は、ちょっと内容的には古くなりました。もう、情報としてはほとんど参考にならないと思います。 改訂しなくては・・・・とは思っているのですが。