Kayatsuri Blog

11/03/2007

In My Life

Filed under: 音楽・ギター — 蚊帳吊りウサギ @ 11:56 am

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二年程前に四十肩で右腕が上手く回らなくなって整体の先生に治療を受けて以来、二ヶ月に一度くらいメンテナンスに通っています。昨日は、その整体の日。グリグリ、バキバキと全身の骨のアラインメントを修正していただいて、体がポカポカとなったところで、せっかくオックスフォードまで出てきたのだから、ついでに弦を買い足しておこうと思い、サマータウンのオックスフォード・ギター・ギャラリーへ足を運びました。店の前まで来ると、入り口の扉に小さな紙切れが張ってあるのが目にとまりました。コンサートの案内でした。

「なになに、ヤコブ・リンドベルイ、リュート・コンサート、3月10日、ホーリーウェル・ミュージックルームにて、夜8時開演・・・・なんだ、今日じゃないか!!」

運のよいこともあるものです。危うくこんなよいものを聴きのがすところでした。ヤコブ・リンドベルイは、ギタリストにはあまりなじみのない名前なのかも知れませんが、スウェーデン生まれの世界的リュート奏者で、現在はロンドンの王立音楽院のリュート科の教授をしています。

どんな曲を弾くのかもわからないまま、会場に行ってみると、全曲ダウランドというプログラムでした。私は演奏の評というものを書くのが苦手と言うか、詳細に言葉に出来るほどいろいろなことがわからないのですけれど、一番印象に残ったことを一つあげるなら、「音」です。曲なんか弾かなくてもよいから、ただ和音をボロロンと鳴らしてくれるだけで満ち足りた気分になる、そういう音でした。リュートの高音弦はギターの弦に比べてずっと細いですから、トップノートのアタックそのものは、コツンと硬質なのですけれど、その後ふわっと湧き上がってくる音の本体と言うか、響きの部分がどうしてあんなにふくよかなんでしょうか。

演奏も、もちろん、すばらしいものでした。確実で鮮やかな技術と洗練されたスタイル。それでいて、十分に情熱的で、とてもバランスのとれた演奏だと思いました。リンドベルイという人は、どちらかと言うと、やや技巧的で華やかな曲が得意なのか、昨晩一回だけでは分かりませんけれど、叙情的なパバーヌのようなものよりは、活発なガリヤルドやファンシーの方が、より楽しめました。

使われた楽器は、レプリカではなくてSixtus Rauwolfの作になる1590年!!のオリジナルです。この楽器は、当初8、7コースのリュートとして製作されたものですが、1715年にLeonard Mausielによって新しいネックを与えられ、現在では11コースの楽器となっています。ただし、表面板については、その年輪年代学的分析から、木材の生育年代が1418から1560年であることがわかっていますので、オリジナルであるという事になります。現存するオリジナルの表面板を持った演奏可能な状態のリュートとしては最古の楽器だそうです。リンドベルイはこの楽器を使ってヴァイスのソナタを録音しています(BIS-CD-1524)。このCDには「不実・・」も収録されていて、私の愛聴版のひとつでしたから、今回、実際に生の音を聞くことが出来たのは大変な収穫でした。

コンサートの最後に、リンドベルイが「この楽器の表面板の右手の小指を置く部分の擦り切れた凹みに何百年もの年月を感じます。もしこのリュートが昔の出来事を覚えているとしたら、いったいどんなことを思い出しているのでしょうね・・・」と言いながら弾きはじめたアンコールは、ビートルズのイン・マイ・ライフでした。

There are some places I remember in my life, those somehow changed・・・・

5 Comments »

  1. 全曲ダウンランドのリュートの演奏の最後にビートルズ・・・というより「IN MY LIFE」に思いを寄せたのでしょうか。
    最近19世紀ギターを手にして、ビートルズが意外に合うんじゃないかと思っています。リュートも含めた古楽器の響きがノスタルジックに聴こえるのかもしれません。特に私はビートルズに対する思い入れは並じゃないですからね。

    Comment by KAZU — 14/03/2007 @ 04:20 pm

  2. そうか、KAZUさんはビートルズマニアでしたか。リンドベルイという人は、ビートルズが好きで音楽の道に入ったのだそうですよ。

    バッハやヴァイスの100年も前に生まれたリュートがマイライフを振り返っているなんて・・・なんだか素敵です。人の姿もずいぶんかわったでしょうね。
    それにしても、19世紀ギター、私もほしいなあ。ゲットするなら、オリジナルでしょうか、それともレプリカの方が使いやすいのかな。

    Comment by 蚊帳吊りウサギ — 14/03/2007 @ 08:55 pm

  3. ごぶさたしています。闘病中のROBAです。19世紀ギター買うんですか?私は松井に作らせたいなーと思っていますが・・・。
    前に書き込み何回かしてもエラーがでました。足し算無視したせいだと今気がついたのは、ボケが進んでいる証拠でしょう。
    2月に2日連続でfadoライブをやりましたが満員御礼でした。

    Comment by roba — 14/03/2007 @ 09:11 pm

  4. えっ、闘病って、大丈夫なんですか。でも2日続けてライブをやっているくらいだから大丈夫なのかな? うーん、とにかく、無理は禁物ですよ。
    19世紀ギターはほしいけれど、私の場合、このあいだ買った8弦でヴァイスのソナタを2つ、3つやるまではダメです。買ったのに弾かない、弾けないのでは、どうも寝覚めがよくありません。
    でも、作ってもらうとすれば、やはり19世紀ギター・古楽器系の専門家でしょうねえ。モダンの製作家とは、頭の中にある音のイメージがぜんぜん違うと思うんですよ。まあ、そんなことよりは、自分の頭の中にある音のイメージを改善する方が先決ですけれど。

    Comment by 蚊帳吊りウサギ — 14/03/2007 @ 11:13 pm

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